お知らせ
2022年12月27日

引用元 【創業者からのバトン】沖縄タイムス様掲載記事

■地域に必要とされる旅行社に
当社は、60年前の1962年12月27日に創立しました。創業者は私の父・嘉昭です。ノースウエスト航空沖縄営業所長だった嘉昭は、航空路線が次々に開設されていくなかで渡航ビジネスに将来性を感じ、起業を決断しました。
嘉昭は、本土復帰前は「日本渡航証明書」や「身分証明書」というパスポートの申請代行業務、海洋博開催が決まった復帰前後からはJAL、ANAの新規路線開設に伴う航空券ビジネスに注力し、やがて、海外に向けた「周遊パターン」を他社にさきがけて開発しました。特に、台湾‐香港‐バンコク‐シンガポールを 1 週間で回る「ゴールデンルート」は人気を博しました。
特筆すべきは、南洋群島帰還者会の「慰霊と交流の旅」です。1974年の第5回以来、50年近くお手伝いをさせていただき、三十三回忌にあたる76年は1100人もの参加者がありました。このサポートで、嘉昭は「地域社会に貢献する旅行社を目指す」という当社の方向性を示しました。
嘉昭は戦前、一家が居住していた台湾で育ち、台北帝国大学に入学するほど勤勉で、スポーツマンでもありました。後に沖縄職域野球の「オール沖縄」メンバー(「与座三兄弟」の次男として知られた)に選ばれ、米軍チームと対戦したときエースでした。私が嘉昭を思い起こすとき、暇さえあれば本や新聞に目を通す姿がまず浮かんできます。「一生勉強」「一生青春」が座右の銘でした。「正しい人間になりなさい」とも言われたものでした。嘘をついたり、ごまかしてはいけない、という意味です。それらの言葉が、私にとって「創業者からのバトン」です。

■「慰霊と交流の旅」再び
95年に嘉昭が亡くなったとき、私は東京で最大手の旅行会社に勤めていました。当社の取締役を務めていた母が 2 年後に亡くなり、それを機に私は当社へ転職し、99年に3代目の社長に就任しました。両親、2代目社長から社長業の引き継ぎは一切なく、就任当時はたいへん困惑し苦労した記憶しかありません。ただただ看板に泥を塗るわけにはいかない、と必死に走ってきました。
創業60年の今年、「南洋群島 慰霊と交流の旅」(参加者の高齢化に伴い19年で終了)を3年ぶりに実施し、マスコミにも大きく取り上げていただきました。 実は、記念事業として何をしようか社内で協議を重ねたところ、社員から、沖縄で旅行業を営む者の使命として嘉昭が取り組んだ社会貢献事業を、という提案があったのです。この慰霊の旅で、ご高齢の参加者が現地に到着するや途端に元気になった姿などに接し、社員は、大きなやりがいを感じ取ってくれたようです。「私たちはお客様に時間をつくってさしあげ、夢を提供するため進化を続けます」という当社の経営理念を、あらためて噛みしめてくれたと思います。

■地域の課題解決のために
世の中が IT 化されて便利になり、私たちの業界でもOTA(インターネットだけで取引をする旅行社)が数多く参入し、競争が激化しています。しかし、そこについていくためだけの競争には加わりません。地域に必要とされる旅行社であるために、地域の課題解決に向けて何ができるか、何をすべきかという問題意識を常に持ち続け、高付加価値の商品をご提供できる人材を育成していきたいと思っています。
そして、そんな後継者にバトンを受け継いでもらいたいと願っています。(談)

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